修了式では、預かっていた犬をお返しする訳ですから、約束通りで当たり前のことなのに、盲導犬協会の方々は私達パピーウォーカーの気持ちをとても大事にして下さいました。
「育てていただいてありがとうございました」
「こちらこそ、パピーウォーカーをする機会をいただいて、ありがとうございました」
家に帰って、家族にお礼を言いました。「パピーウォーカーをしたいというママの夢が叶えられたのは、家族の承諾と協力があったから。本当にありがとう。」と。
そしたら、子供達から「ママ、パピーウォーカーをしてくれてありがとう。」と言われました。
散歩のとき犬連れの方に、ジュリが盲導犬候補のパピーだと話すとほとんど「あら、可哀想」と言われました。ペットじゃないし、「ドッグランで遊びましょう」といった類の話しには入れないし、犬仲間とはちょっと違う。
私は、犬に可哀想なことをしてるんじゃない!とも言いたかったし、孤独に感じることもありました。だけど、理解を示してくださる方もいたし、ブログを通して、同じ立場の方と知り合って心強く、毎日カウンターの数字が増えると、それだけの方から応援してもらってるようで、私の支えでした。本当に、ありがとうございました。
それから、ジュリにも、ありがとう。会えてよかった。
昨日からありがとうがいっぱいで、私の頭の中を井上陽水&奥田民生が「ありがとう」を熱唱し続けています。
<修了式へジュリを送り出す家族の色々>
朝、ケージをたたんだり、書類を確認したりしながらバタバタと家を出発!した途端、ハンドルを握るお父さんが「うぅっ・・・」。もう、びっくり。口数少なめだな、とは思ってたけど、突然こうなるとは。泣きながら運転は危ないから、代わるよ〜と言ったけど、男の意地で運転してくれました(^^;)。
私は、自分がどう感じるかわからない、と思ってました。実際に、盲導犬協会でも理性が勝っていたし、しっかりとやるべき事はやったと思います。ジュリと離れたときは、娘と少し涙したけど、まだ分かってなかった。私って、想像力が乏しいんだと自覚したのは、家に帰ってから。
車を停めて、いつものように「ジュリをケージから出してね〜」とボケて子供達に言ったのに、誰も突っ込んでくれず、家に入ってから、お尻をふりふり出迎えてくれてたジュリがいなくて泣き崩れてしまいました。
リビングにも、キッチンにも、洗面所にも、いない。朝、ジュリが食べた後の食器だけが、洗わずにそのまま置いてありました。
そして、泣きながら掃除機をかけて、ジュリの毛を吸い取り、グッズを全て箱に片付け、予定通り、部屋を模様替えしました。
子供達は、
5年生の長女は、別れる時に少し泣き、ジュリの毛をTシャツにいっぱいこすりつけてました。
3年生の長男は、家に帰ってから、一人で隠れて泣いていたようです。
1年生の次男は、「帰ってくる」と信じているようです(^_-)。
ジュリの出発は、とても辛い体験でした。
昨年、愛犬を亡くしたときは、何をしてもただただ涙が出てきました。もう二度と会えない犬のことを話題にするのも怖かったし、私が結婚する前から飼っていた犬なので、家族にとっては「おかあさんの犬」で、気持ちを共有することも出来ませんでした。
でも、ジュリは死んだわけじゃないので、脱ぎ捨てた服がジュリに見えた、とか、ティッシュをゴミ箱に捨てても大丈夫、とか、靴下を落としてても心配ない、など、笑いながら家族と話しています。
ジュリには、これからがあります。どんな未来になるのか、幸せを願って見守り続けようと思います。
これからの我が家は、ジュリがいて我慢したリストの消化。
1.どんぐり村へ芋掘りに行く!(家畜がいる施設で犬は入場不可だったため)
2.カラオケにいく!(カラオケ店にも確認しましたが、ペットルームに小型犬は入室可です。大型犬もロビーを抱っこしてささっと部屋に入れば・・・とあれこれ考えてくれましたが遠慮しました)
3.海外旅行に行く!(実現できるのか!?)
などなど(^o^)。
<パピーウォーカーのススメ>
私は小学生のとき飼育委員をしていて、朝の始業のベルも聞こえずに作業を続けて、1時限目が終わった時に担任の先生がにこにこしながら呼びに来て下さったことがありました。ベテランの男の先生で怖かったけど、今思えば、とても良い先生だったんですね。
そんな子供で、卒業アルバムの将来の夢は「動物園の飼育係」でした。そして学生になり、夢は「獣医」に変わりました。
30年近く前に福岡に盲導犬協会ができた時、パピーウォーカーをしたいと両親に頼んだけれど、私は子供で飼育責任者にはなれないし、母は引き受けてくれませんでした。
そんな夢は何一つ実現せず、ただの専業主婦を送っていた私です。特別な技量があるわけでも、特技があるわけでもなく、普通に犬が好き、動物が好きなだけです。気持ちさえあれば、誰でもパピーウォーカーをやれると思います。
家具をかじられたり、服を破られたり、おしっこ臭くなったり、部屋が毛だらけになった事に怒りはありません。動物病院でお金を払うときは、正直ちょっと痛いけど(>_<)。それ以上のものを犬からもらいました。散歩をすることによってのダイエット効果は、年齢による老化と地球の重力に逆らうことは出来なかったものの、体調を崩すことなく過ごせたし、とても充実した1年でした。
言ってみれば、なんの儲けにもならないボランティアですが、「人のために何かをする」というのは、ひいては自分のためになっていると思います。何年にもわたってボランティアをされている方でさえ、おごったところは微塵もなく、盲導犬協会へいくたびに、心が洗われるような気持ちになってしまいます。
犬を飼ったことがない人でも心配いりません。犬の飼い方、躾け方のプロが常に見守ってくれていて、いつでも相談に乗ってくれます。うちの夫と子供も、犬初心者でしたが、犬を知り、大好きになりました。
こうしなくてはいけない、というルールは少しだけで難しいことはありません。私はもっと散歩に行った方がいいんだろう、と気になりながらも、子供の学校や家事が忙しいと犬を犠牲にすることも多かったと思います。
ちょっとでも興味があったら、ぜひ盲導犬協会へ話しを聞きに行ってみてくださいm(_ _)m。