ママ犬エミー号は、2010年7月13日に6匹のかわいい子犬を生みました。ジュリ(純粋な心をもつ女性をイメージして、ジュリエットから繁殖ボランティアさんが命名)が約一年間我が家で過ごした記録です。

2013年2月19日火曜日

ユーザーさんの言葉

協会誌に載っていたユーザーさんの言葉に、大変感銘を受けましたので紹介させていただきます。

「もともと歩くのが好きで、目が見えなくなってからも家の近辺ならよく白杖で歩いていました。しかし白杖はやはり危険だったり不便なことも多く、いつも不安を抱えてふわふわと歩いている、そんな感じだったんです。もっと安心して堂々と胸を張って歩きたい、そんな気持ちから盲導犬を持つことを希望しました。
 そして待ちに待った共同訓練。パートナーとなるジュリと初めて歩いてみたときは、本当に、本当に久しぶりに大地を思いっきり踏みしめて歩いているなぁと実感できたんです。この感覚は盲導犬と歩いてみないとわからないですね。
 もちろん、盲導犬がいるからと言ってすべて安心というわけではなく、道順とかきちんと覚えていないとジュリにしっかりと指示ができないので難しいと思いました。今までいかに人を頼っていたかということですよね。
 また、盲導犬の扱いも、ハーネスを持っているときと、リードを持っているときでは言葉のかけ方が違うなど覚えることがたくさんです。
 そして驚いたことには、『ここまで犬をほめちぎるのか』というくらい "Good" の連続。ほめて、ほめて信頼関係を作っていくということなんでしょう。人に対してもそうなんですが、自分が余裕のある穏やかな気持ちでないとなかなか相手をほめることはできないですよね。気持ちがこもっていないとちゃんと相手に伝わらないですから。いつも落ち着いて、一呼吸置く。精神面を安定させるうえでも役に立っています。
 そして私たち目の見えないものにとって、盲導犬はいつもそばにいてくれるという意味でもとても大きい存在です。これからはいつも一緒だと思うと心が躍ります。私は訪問マッサージの仕事をしていますが、近所のお得意さんのところなら自分で歩いていきたい思います。また、もともと旅行が大好きでしたが、なかなか限られたところしかいけませんでした。これからはジュリと共に東北や北海道など、いろんなところに行けるという希望が持てますね。そのためにも一日も早くジュリとの歩行や生活に慣れるように頑張りたいと思います。
 ご指導いただいた指導員の方やジュリを育ててくださったボランティアさん、応援してくださる皆様に心からお礼を言いたいです。ありがとうございました。」

************* m(__)m ***********

目が不自由な方の多くが同じ気持ちを持っておられるのだろうと想像します。私たち、健常者には決して分かることの出来ない感覚、持つことの出来ない絆を、ユーザーと盲導犬のみが持てるのでしょう。
ユーザーさんがおっしゃるように、一人と一匹の絆は始まったばかり。ジュリはたくさん褒めてもらって、ユーザーさんの一喜一憂が手に取るように分かるようになっていくのだと思います。


パピーウォーカーをしていると、つい犬を見がちですが、大切なのは、その先にあるユーザーさんの為のボランティアだという事を忘れてはならないと強く感じます。
ジュリは、車や飛行機に乗せられてあちこちを旅しました。どこへ行っても、興奮することもなく、平常心のジュリでした。きっと、東北や北海道で新しい思い出を作ることが出来ると思います。
私がジュリと過ごした1年間はほんの序章に過ぎません。これからジュリの物語の本編が始まります。この物語に加わることができてとても嬉しく思います。ありがとう。